2011年6月25日土曜日
6月22日 パート2 @ブラティスラバ、スロバキア
夜7時。『ノタベネ』誌のズザと2人、ある舞台を見に出かけた。その名も「クカパカ(KUKA PACA)」。
暗がりの中に人影が現れたかと思うと、一言こう叫ぶ。「人生はゲームだ」。またある人影はこう叫ぶ。「人生は痛みを伴う」。そして続々7人がそれぞれの人生の箴言を吐いた後、ライトは客席を照らし、こう問いかける。「それで、君はどこにいるんだい?」
その後繰り広げられるのは、1組の夫婦の会話劇や、孤独を抱えて犬にしか自分の思いを話せない中年女性の繰り言、心の痛みを吐露する若者のラップ・・・それぞれの生き様がモザイクのように映し出される。
今年5月に5周年を祝ったばかりの「クカパカ」。その俳優陣は、皆ホームレス状態の人々で、そのほとんどが『ノタベネ』誌の販売者さんたち。今回が3回目の参加だというエルカが演じたのは、犬にしか自分の心の思いを話せない女性。「あれは、私の本当の姿なの。いまだに人に対して自分の考えを話すのが怖いのよ」と語る。「でもね」と傍らのズザが続ける。「エルカの書いた脚本が次回作に使われることが決まっているのよ」。すばらしい!
アーティストとしてこの俳優陣たちとかかわるパトリックはこう語る。「彼らの表現方法はとてもダイレクトでシンプル。どうやって人生を生き抜いていくかを知り尽くしているように感じます。台詞は全部オリジナルで彼ら自身が考えているのですが、その表現のプロセスにかかわれるなんて、これほどうれしいことはありません」。自身のアーティスト活動にも、大きな影響を受けているという。
30分強の劇の後には、俳優陣たちと観客とで話の輪が幾重にもできていた。
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