2011年6月6日月曜日


6月1日 @ザルツブルク、オーストリア→ミュンヘン、ドイツ
 昨夜のザルツブルクは荒れて、雷鳴がとどろき、停電に備えて思わずろうそくの用意をしたほど。一夜明けたこの日、小雨の中、ザルツブルグから2時間弱の列車の旅を経て、ドイツのミュンヘンにたどり着いた。
 早速現地のストリート・マガジン『BISS』誌を訪問すると編集部員のシモーヌと販売担当のウベが出迎えてくれた。
1993年に創刊された『BISS』誌は、当初20-30人のソーシャル・ワーカーや教会関係者などのボランティアによって立ち上げられた。創刊号を1万部刷ったもののすぐ売り切れ、3週間後に5万部増刷。人口130万人のこの街にすんなりと溶け込んでいった。
 現代表のヒルデガルドは、94年4月にマネージャーとして『BISS』 誌に参加。2年後には、このストリート・マガジンは、スタッフに給料が支払われるような組織に育っていった。月1回刊で、約3万7千部が発行されている『BISS』誌は、当初から現在に至るまで、政府からの助成金は受け取っておらず、雑誌の販売・広告と市民からの寄付によって運営されている。
現在約100人の販売者が働いているが、そのうち26%が40~49歳、42%が50~59歳、21%が60~75歳で、39歳までの販売者は11%に過ぎない。
というのも、若手が「雑誌販売をしたい」と『BISS』を訪れると、まずは将来につがなるようなスキルが身につくような職業訓練の場を紹介されるからだ。
そんな場の一つが、「Dynamo(ディナモ)」。社会的企業である「ディナモ」では、25年前から、長期失業状態にある人たちのために、自転車メカニックになる職業訓練の場を提供している。
『BISS』の事務所から歩いて15分の「ディナモ」を訪れると、10代から50代までの男女11人が頬ずりしそうなほど真剣に自転車と向き合っている。数えきれないほどの工具と、名前も知らないような自転車の部品が所狭しと置かれている。
 ここに持ち込まれなければ「ごみ」として捨てられていたはずの自転車が、彼らの手で一生モノの宝物に生まれ変わる。そして、長期失業者という烙印を押されていた従業員も、3年半の修業を経てプロの自転車メカニックとして巣立っていく。
 人が真剣に何かに打ち込む姿って美しいなあー、と彼らの働く姿にしばらく見惚れてしまった。

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