2011年6月19日日曜日
6月13日 @クラクフ、ポーランド
赤いサンダルに、飾りがかわいいブーツ。紳士用の革靴に、子ども用のスニーカー・・・。そこにはおびただしい数の靴が展示されていた。同じように、こちらにはめがね、あちらにはスーツケースが山積みされている・・・。
皆、アウシュビッツ収容所に送られてきた人たちの所持品だ。これだけの生活がある日突然奪われたことを想像すると、めまいがしてその場に崩れ落ちそうになる。
ポーランドに来たら、アウシュビッツをぜひ見ておかなければと思っていた。でも、見終わった今、目に焼き付いた映像の数々がうまく消化できず、身体が拒絶して、結局1日寝込んでしまった。
これだけの悲劇を人は生み出せる。しかも、生まれながらの極悪非道の悪人なんてのはいなくて、彼らは家に帰ると普通の父であり、夫であった。以前見た映画『敵こそ、わが友~戦犯クラウス・バルビーの3つの人生~』では、「リヨンの虐殺者」と呼ばれたクラウス・バルビーの娘が登場し、「父はとても優しくて、思いやりがあった」と語っている。
自分も同じ立場に置かれたら、そのような悲劇に手を染めていたかもしれないことを思うと、やりきれない。
一方で、悲劇の中にも、周りの人の心に灯をともした人がいた。コルベ神父が身代わりになって囚われたという断食房を見たときに、少し心が救われた気がした。神父のように歴史に名を残さなくても、ささやかな優しさで周囲の人に明日を生きる勇気をもたらした人がたくさんいたはずだ。過酷な労働の日々の中で、そんなことが自分にできるだろうか? 果てのない自問自答が続いた。
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