2011年5月9日月曜日




5月6日 パート2 @サンクトペテルブルグ

 先日訪れた「ナイトシェルター」の『プット・ドモイ』誌の仕入れ先に行くと、今日は“路上の詩人”が仕入れに来ていた。彼の名はミハエル。アーカディから話を聞いて、ずっと会いたいと思っていた。早速ミハエルが、自作の詩を朗読してくれるという。
 Open up the borders!
Mix up the people!
We are men! We are birds!
We are Mother Nature’s children!
As though we are sitting in tanks, we don’t see one another,
Trapped now in the confines of threat and fear.
境界を開け! 人々を混在させよ! 
 われらは人であり、鳥である。
 母なる自然の子どもでもある。
 今はただ、お互い目も合わせず、戦車に座っている。
 今はただ、おそれという檻の中に閉じ込められている。

 ミハエルの魂の叫び。すばらしかった。しばらくの静寂の後、「Brilliant!(すばらしい!)」とアーカディがつぶやいた。「同感」と心でささやく。
 12歳から詩を作り出したというミハエル。次は小説を書くのが夢だという。「次会うときには、できた小説を読ませてね」と約束する。
 少しの間皆でお茶をしていると、扉を開けて、長い黒髪の女性が入ってきた。「レナ!」とアーカディは歓待ムード。なんと、彼女がこの仕入れ場所の壁の絵を描いたアーティスト・販売者だという。思わず、「この壁の絵を見て、レナに会う前から『こんな絵を描く人だから、あったかい人なんだろうな』と思っていたんだよ」と告げると、恥ずかしそうに目を伏せた。
 しばらくして、皆の会話に入ることもせず、じっと座っていたレナがおもむろに席を立った。「販売場所に向かうのかな?」と思っていると、戻ってきた彼女の手に、自作があった。なんと、プレゼントしてくれるのだという。心が、動いた。彼女の手にあるそのチューリップの絵は、本当に色彩が柔らかで、すばらしかった。唯一知っているロシア語「スパスィーバ(ありがとう)」を何度繰り返しただろう。レナのサイン入りの絵。ロシアで、生涯の宝物を得た。

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