2011年5月9日月曜日
5月6日 パート1 @サンクトペテルブルグ
ロシアのストリート・マガジン『プット・ドモイ』のスタッフ、アーカディが、サンクトペテルブルグの目の見えない人のための図書館に連れて行ってくれるという。
85年前に設立されたこの図書館の新しいロゴを彼が考案するとかで、その話し合いに行くのだという。ロシアには、なんと75も、目の見えない人のための図書館があるそうだ。
オフィスに一歩足を踏み入れると、スタッフのアレクサンドラ、ダーシャ、オルガが温かく迎え入れてくれた。壁にかかっている印象派をほうふつとさせる絵画に目を向けていると、これは目の見えない画家によって描かれたのだという。そのうちの一つ「白夜」と題された絵画に、すっかり心奪われてしまう。
アレクサンドラが「ちょっとこの箱に手を入れて、何が入っているか当ててみて」と茶目っ気たっぷりに笑う。箱の中のものに触れてみると、なんだか獣が口を大きく開けているプラスチック製のお面のよう。そう告げると、答えは、50年前に宇宙に行ったガガーリンだった。
2カ月前からこの仕事に就いているというアレクサンドラは、心底、ここでの仕事を楽しんでいるようだ。「この図書館では、目の見えないスタッフも4人ほど働いているけれど、彼らの仕事ぶりはすごくかっこいいの。ぜひ、彼らに会ってほしいわ」
ということで、アーカディの“商談”中、私はアレクサンドラ&ダーシャとともに、別室を訪れた。
ここで働いているマックスが、どのようにして本の文字を音声に変換するかを、実演してみせてくれる。機械の上に置かれたのはチャールズ・ディケンズの『大いなる遺産』。マックスがそのテキストをスキャンして、ボタンを押すと、英語でディケンズの略歴が読み上げられた。早口言葉のように舌をかみそうだったスピードも、ボタンで自由自在に変えられる。
コンピュータのウェブ上の文字も変換機を通して、点字になるという。ボードの点字を読み取るマックスの手の動きはとても華麗だった。
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