2011年7月11日月曜日


7月2日 パート1 @ベオグラード、セルビア
“白い都”を意味するベオグラード。以前読んだ、ロシア語通訳者だった米原万里さんの『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』(角川文庫)の中に、オスマン・トルコ軍がこの街のあまりの美しさに攻撃を躊躇したという記述がある。
「白い靄に包まれた都市は、折から差し込んできた陽の光を受けてキラキラと輝いていました。その美しさに、歴戦の猛者たちも、しばし息を呑んで見惚れたと伝えられています。あまりの美しさに、トルコの将兵は戦意を喪失し、その日の襲撃は中止になった、と」
 続けて米原さんは、同書で、99年のNATO軍によるベオグラード空爆に触れている。空爆された建物の1つ、連邦国防省は、その無残な姿を今も私たちにさらけ出す。
先日、話を聞いた際、「『どうしてこんなことが起こったのか?』という問いに答えられる人は1人もいないでしょう。この問いに答えるには、長い時間が必要です」と現地のストリート・マガジン『LiceUlice』の編集長、サキは言った。
 言葉にならない様々な感情を抱えながら、闇のような底なしの暗さをさらけ出す爆撃跡を、ただただ見つめた。

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