7月15日 パート2 @ミラノ、イタリア
日本から合流した友人Hさんと、ドゥオモに繰り出す。白亜の建造物をくまなく心に刻んだ後は、脇道にそれて、前コルシア・デイ・セルヴィ書店、現サン・カルロ書店を探す。
作家・須賀敦子さんが携わったコルシア・デイ・セルヴィ書店は、サン・カルロ教会の物置を改造して、この世に生まれ落ちた。この場所自体が、1930年代の「聖と俗との垣根を取り払おうとする『あたらしい神学』の流れを受け継いでおり、「司祭も信徒もなく、ひとつになって、有機的な共同体としての生き方を追求しよう」という運動でもあった。
現在コルシア書店は、サン・カルロ書店と名前を変えているが、この土地を訪ねてみることにした。
サン・カルロ教会にたどり着くと、向かって右側にひっそりとたたずむ本屋さんを発見。扉を開けると、大通りの喧騒がうそのような静寂に包まれる。書棚には、ダヴィデ・マリア・トゥロルド神父、エマニュエル・ムニエ、シモーヌ・ヴェイユなどの著作が整然と並べられている。お客は私たちだけかと思っていると、立て続けに3度ベルが鳴った。
須賀敦子さんやペッピーノたちが過ごした時間の息遣いの一つでも残っている気がして、大きく息を吸って、店を後にする。扉を開けると、またミラノの喧騒が私たちを待っていた。
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