2011年4月21日木曜日
4月14日 パート2 @ソウル
ビッグイシュー・韓国(以下、TBIK)の事務所の周囲は果物市場が立ち並び、アジュンマ(おばさん)やアジュシ(おじさん)たちの活気が夜遅くまで感じられる。だが、事務所から歩いて10分ほどのところに、数年前「タイムズスクエア」というきらびやかな巨大ショッピングモールができた。
ビッグイシュー・韓国のセールス&マーケティング部門で働くキム・ヨンファンは、「あの建物はなんだかモンスターみたい」と語る。確かにその姿は、平屋建ての建物の背後から襲いかかる怪獣のよう。そして、なんとその“怪物”の真裏に、ソウルで6つあるスラム街のうちの1つがあるという。
ヨンファンにスラム街に連れて行ってもらうことになった。真っ白で、清潔で、無機質なタイムズスクエアから1つ横断歩道を渡ると、そこは別世界だった。もう何年も使われていないような自販機や傾いた屋根。炊き出しの列に、路上で語り合うアジュシたち。薄汚れていて、崩れかけていて、でも人間の生きるパワーが充満している世界。訪れる者に、否が応でも汗や涙や喜怒哀楽や人生を感じさせてしまう。
再び戻ったタイムズスクエアが、なんともうそっぽく、空々しく見えてしかたなかった。
事務所までの帰り道、ヨンファンに、なぜTBIKで働こうと思ったのか聞いてみた。大学で福祉を専攻していたというヨンファン。福祉は二の次で、利益や成長を続けることを優先させる国のやり方に、ずっと疑問を感じていたという。「今の国のやり方を変えたい、社会のありかたや考え方を抜本的に変えたいと、ずっと思っていました」。その延長線上にビッグイシューがあった。
夢は自ら社会的企業を立ち上げることだというヨンファン。TBIKの事務所で販売者のアジュシたちと語り合う姿に、夢実現の片鱗を見た。
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