2011年4月25日月曜日
4月25日 @マニラ
フィリピンのストリート・マガジン『Jeepney』誌は、今、過渡期を迎えている。2007年11月に雑誌を立ち上げたアメリカの宣教師夫妻は、10年10月に帰国。もともとソーシャルワーカーとして同誌で働いていたリアが現在代表を務め、他にマーケティング・ディレクターとして働くセシル、販売担当のホセリートの3人で現場を支えている。
代表を託されたとき、一度は断ったの、とリア。明らかに自分には重過ぎる荷物だと感じだから、と語る。でも、結局彼女はその重責を引き受け、どうにか今まで『Jeepney』誌を持続させてきた。
『Jeepney』誌の抱える問題の1つに、フィリピンでは路上販売が違法である、ということがあげられる。とはいうものの、マニラで道を1分も歩けば数々の露天商に出会う。彼らはしょっ引かれるのを覚悟して、路上販売をしているのだ。
だから、『Jeepney』誌の販売者は、街頭に売り場を持たず、モールやインターナショナル・スクールに出張販売をするというパートタイムで働いている。それでも、空調があり、こぎれいな場所に出入りできることが彼らにとっては誇りであるし、また過酷でない仕事からそれなりの実入りが入ってくることで、生活のめどが立てやすくなるという。ちなみに、『Jeepney』誌は、1冊100ペソ(約200円)で売られており、そのうち50ペソ(約100円)が販売者の収入になる。1号につき、3000部刷っているという。
現在『Jeepney』誌には11人の販売者がいるが、リアは定期的に彼らに会いに行く。生活苦を吐露する彼らに耳を傾け、愚痴っぽくなると励まし、流す涙をぬぐってあげる。特別な時にはビーチでともに時間を過ごしたりもする。
販売者の数人は路上で暮らしている。だから、リアと道を歩いていると、「ハーイ!」と路上で暮らす家族に話しかけることがよくある。土埃にまみれた彼らが、リアを見ると目を輝かせる。こわばった顔がやわらぎ、笑顔が時にこぼれる。こうやってリアは、この4年半、彼らと絆を築いてきた。
「『Jeepney』誌で働く前は、別の団体でソーシャルワーカーとして8年間働いてきたのだけれど、ホームレス状態の人たちには仕事の機会が限られていることに、いつも悩まされてきました。彼らに仕事の機会を提供できる『Jeepney』誌の仕組みは本当に素晴らしいと思っています」
そう言うとリアは、自らの言葉を心で反芻するかのように、大きくうなずいて笑ってみせた。
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